どぶろぐ。

わたしのランディ その1

ランディは金魚である。

私たちがまだ結婚する前、
すもぞうのお兄さんが飼っていた小さな金魚。

当時の私の習慣は、仕事が終わったその足で
すも家の営む食堂へ行き、たらふく無銭飲食し、
すもぞうの部屋で仮眠をとり、
車で家まで送ってもらうというものであり、
今では考えられないほど、大切にされていた。

その日、いつものようにお店でご飯をいただいて、
お家のほうへおじゃますると、玄関にある大きな水槽に、
1匹だけ金魚が飼われていることに気がついた。

すもぞうに名前を尋ねたが、
「さぁ、名前なんか付けてないと思う。」
と、そっけない返事が返ってきた。

「じゃあ、今日からランディにするわ。」

他人の家のペットに勝手に名前をつける女。
それが私だ。

そうして私はすも家におじゃまするたびに
ランディに声をかけるようになった。

夜、玄関の明かりが落とされると、ランディは眠るので、
その時は、起こさないようにそぉっと通ったりする。

いつしか、ランディは私が声をかけると、
水槽の中をすごい勢いでグルグルと泳ぎ回るようになった。
しかし、すもぞうが声をかけても、身じろぎ一つしない。
とても賢い金魚なのだ。

「すごい、すごい」と私が誉めるので、
ランディも段々調子付いてきて、
水槽に取り付けてある、あのブクブク装置の筒と
水槽の壁面の3cmくらいしかないスキマを

しゅるん!

と見事に、通り抜ける荒業まであみ出した。

「しゅるん」は、例えると跳び箱を飛ぶ時のように、
助走と踏み切りのタイミングが合わないと成功しない、
ランディにとってもなかなか難しい技のようで、
初めのうちは3回に1回程度の成功率だったが、
しばらくするとほぼ成功するようになっていた。

ランディの成功の陰には、
いつまでも金魚に話しかけている珍妙な女の姿と、
その女の背中を忍耐強く見守る、すもぞうの努力があった。

つづく。
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by hakoiri_musume | 2006-12-16 01:48 | どびんのひとりごと

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